外国語と日本語では、まったく同じものをさす単語は少ないです。
辞書に出ている訳は、「しいていうなら」という前提があっての解釈だと思っています。
でも全く同じものを指しているものもあります。
たとえば父や母。一人の子を産みだすことになった男女のペアの男性側を父、fatherというし、女性側を母、motherというから同じものを指しています。
でもfatherということばそのものと、父という言葉そのものが表す意味は同じじゃないかも。父親というポジションを英語はどうとらえ、日本語はどうとらえているのか。それが語源からわかる気がして調べてみましたた。
father:
もとはラテン語のpater。意味は養う人
ちち:
男子に対する敬称の「ち」を重ねたもの。ちの語源は威力のある存在から心霊を称える「ち(霊)」の意味が有力とされている。
漢字の父:
手に斧をもっているのを示す象形文字。狩りに行って獲物をとる男性の姿。
fatherと父は父親を家族を養う人と定義づけているのがわかります。でも日本語の「ちち」にはその意味がない。
ということは、「ちち」という言葉が生まれたころの日本では、父親に養う人のイメージがなかったのかもしれない。
母も調べてみたのだけれど、父ほど明確な語源の説明が今のところ見つかりませんでした。父よりもっと古い、混とんとした言葉なのかもしれない予感がします。
こうして語源の沼にはまるのだ。
未来という概念がある英語、ない日本語
英語には未来に起こることを
表すいわゆる未来形が
実はいくつもあるって
ご存じでしたか?
先日レッスンで未来形を解説していて
そのいろいろな未来形の違いを
日本語で説明するのがけっこう難しく
そこから日本語の未来形の
少なさに気づいたのです。
英語で未来を表す
動詞や助動詞の「未来形」は
willやbe going toだけじゃないんです。
現在形、現在進行形を使ったり
willとshall
be going toを使ったりで
5つもあります。
これに対し
日本語には「未来形」
というものがありません。
たとえば
「私は明日テニスをします」も
「私は毎日テニスをします」も
おなじ「します」で
明日か毎日という言葉がなければ
いつのことを言っているのか
その文だけでは分かりません。
英語なら
I’m going to play tennis (tomorrow).
I play teniss (every day).
と、tomorrowやevery dayが
なくても未来なのかどうか分かります。
ある概念をあらわす言葉の種類が多いのは
その言語を使う文化において
その概念が重視されていると言えます。
たとえば
日本には雨の種類を表す言葉が
たくさんあります。
小雨、大雨だけでなく
五月雨、霧雨、豪雨
小糠雨、時雨、通り雨
氷雨、夕立などなど。
(ちなみにハワイ語も雨の名前がたくさんあるそうです。)
つまり英語文化では
未来という概念を
かなり細かく区別し
認識しているということです。
具体的には
・電車の時刻表にのっているなど確実に決まっている未来
・約束や予約などがされていてかなり確実な未来
・それをすると心では決めているが、予約などはしていない場合もある未来
・今、それをすると意志をもった未来
・相手の意向を汲もうとする意図をもった提案のような未来
こんなに細かくは
日本語では未来を区別して
認識していませんよね。
こう考えると
日本の文化は未来については
フォーカスが薄いと言えます。
あえて未来を表す言葉を探すなら
「でしょう」ぐらいです。
でも「でしょう」は
推測を表す言葉です。
約束や予定が
しっかり決まっていることについて
「わたしは明日、友達と〇〇時の飛行機に乗るでしょう」
というのはちょっと不自然です。
決まっている未来については「乗ります」
これは現在形。
決まっていない未来は「乗るでしょう」
これは推測。
なんと
日本語には未来を表す
専用の表現がないのです。
ということは
日本の文化には未来という概念が
ひょっとするとなかったのかもしれません。
同じように過去や現在についても
日本語には種類が英語に比べ
とても少ないです。
未来だけでなく
時間というものの捉え方自体が
日本語と英語とでは
全然違うのかもしれません。
時間の概念が曖昧なのに
時間をしっかり守る日本人。
この国民性がどうやって
できあがったのか
とても不思議な気がします。
英語を学ぶことで
日本語を知り、日本文化を知り
そしてそれを使う
自分の思考に気づく。
こういうところも
英語学習の面白いところです。
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言語がお金に関する行動を変える?!
こんにちは。
英語の雑談力を身につける英語学習コーチの栗宇美帆です。
言語のある特徴によって
どの言語を使うかで貯蓄額が変わるんですって!
行動経済学者のキーズ・チェンさんの研究結果です。
どんな特徴かというと
「未来形があるかないか」
です。
詳しく説明しますね。
雨が降る、ということを
英語で言うと
It rains.
日本語は
雨が降る、です。
では、明日雨が降る、はどうでしょう?
英語は
It will rain tomorrow.
いっぽう日本語は
明日雨が降る。
「雨が降る」の部分は
日本語では変化がありません。
日本語は「明日」という言葉をつければ
それは未来のことを示すことになり
特に他に変化を加える必要はありません。
でも英語の場合
tomorrowをつけるだけでは×です。
rainsの部分をwill rainに
変えなければなりません。
中国語も日本語と同様に
未来形はないそうです。
そして、国民の貯蓄高を高い順にグラフにすると
この未来形のある言語を母語とする国が
未来形のない言語の国の前に並ぶそうです。
なぜそうなるのか?
未来形のある言語を母語とする人にとって
現在と未来は別物。
分離したものという概念が強いといえます。
なので、現在から続く未来のために
今から貯蓄する、という意識になりにくい。
一方、日本語のように
現在も未来も同じ表現で表す言語では
現在と未来は地続きなので
未来を想像しやすい、
今の自分と未来を関連付けやすいからだそうです。
貯蓄というのは
未来のために今を犠牲にする行為。
また反対のベクトル
今を楽しむために未来を犠牲にするもの、
たとえば喫煙の習慣についても
未来形のない言語を話す人たちのほうが
喫煙率が低い結果になったそうです。
こちらがチェンさんのTEDのプレゼンです。
貯蓄という点では未来形のない言語が
高かったわけですが
一方、投資でみると
反対の結果になりそうだなと
わたしは思います。
現在と未来を切り離して考えるなら
未来についてのリスクも
今の自分との関連が薄く感じるからです。
投資率と言語に関する比較は
この研究発表には出てきませんが
たとえば
リスクをとって大胆な行動をとる必要があるときは
あえて英語でそれを書いてみる、宣言してみる。
今から未来にそなえてこつこつと続けていくという
行動を決断したいときは
日本語で書く、宣言する
というのも
効果があるかもしれませんね。
わたしたちの思考は言語がベースです。
たとえ文字や声に出さなくても
四六時中、言語の影響を受け続けています。
であるなら
行動にも変化があって当然と言えますよね。
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