外国語と日本語では、まったく同じものをさす単語は少ないです。
辞書に出ている訳は、「しいていうなら」という前提があっての解釈だと思っています。
でも全く同じものを指しているものもあります。
たとえば父や母。一人の子を産みだすことになった男女のペアの男性側を父、fatherというし、女性側を母、motherというから同じものを指しています。
でもfatherということばそのものと、父という言葉そのものが表す意味は同じじゃないかも。父親というポジションを英語はどうとらえ、日本語はどうとらえているのか。それが語源からわかる気がして調べてみましたた。
father:
もとはラテン語のpater。意味は養う人
ちち:
男子に対する敬称の「ち」を重ねたもの。ちの語源は威力のある存在から心霊を称える「ち(霊)」の意味が有力とされている。
漢字の父:
手に斧をもっているのを示す象形文字。狩りに行って獲物をとる男性の姿。
fatherと父は父親を家族を養う人と定義づけているのがわかります。でも日本語の「ちち」にはその意味がない。
ということは、「ちち」という言葉が生まれたころの日本では、父親に養う人のイメージがなかったのかもしれない。
母も調べてみたのだけれど、父ほど明確な語源の説明が今のところ見つかりませんでした。父よりもっと古い、混とんとした言葉なのかもしれない予感がします。
こうして語源の沼にはまるのだ。